最近、立て続けにクォーツ時計を購入しています。
今までは、機械式時計ばかりで、クォーツ時計に目を向けることは
ありませんでした。正確には時刻合わせ用に1つ持っていましたが。
クォーツと機械式の違いってなんでしょう?
今まで深く考えたことがありませんでした。
1960~70年代の国産時計の泥沼にハマるほど、機械式>クォーツという図式
ができあがり、そう思い込んでいました。時計好きの多くは同じだと思います。
皆さんご存知だとは思いますが、両者の比較をしてみると。
・精度 これはクォーツが圧倒的に良いのです。どんなに高精度・高コストな
機械式ムーブメントでも、100円均一で売られてる時計にすら勝てないのです。
・大きさ・軽さ これも一般的にクォーツのほうが小さくできます。機械式でも薄く小さく
できますが、非常にコストがかかります。
・イニシャルコスト これもクォーツが圧倒的に安いです。クォーツがはじめて市販されたときは
小型自動車とほぼ同じ価格で非常に高価でしたが、いまや数十円のモノが
あるくらい安価です。
・ランニングコスト これもクォーツのほうが安いですね。
クォーツは通常2~10年程度で、電池交換が必要です。交換手間入れて1000円前後。
機械式は数年に一度オーバーホールが必要になります。だいたい10000円から。
・耐久性 これは一概には答えを出せないのですが、一般的には定期メンテナンスをすると機械式のほう
が長持ちすると言われています。クォーツは市販されて47年しか経過してないので、どれだけ
持つのか分からないのです。おそらくクォーツは極端な低価格化が進み、使い捨てされてきた
ので長持ちするイメージがないのだと思います。
50年を超え、100年サイクルで考えると機械式が有利でしょうね。古い機械式は、ほぼ金属と石で
出来ているため経年変化が起こりにくい。たとえ部品がなくなっても熟練の職人なら金属を
削りだして部品は作れるので、コストと地板の寿命を無視すれば永遠に動くでしょう。
こんなところですかね。
機械式時計の良いところがあまりみえてきませんね。どこが良いのでしょう。
クォーツ時計が市販され数年後、クォーツ時計勢力は凄まじく、機械式時計をあっという間に時代遅れに
していまいました。その後、国産機械式時計は絶滅してしまうのです。(輸出用除く)
合理的に考えると機械式時計のメリットはありません。なにせ一度滅びたわけですから。
でも。ゼンマイが元に戻る力のみで駆動すること。動くときに生じるカチカチという音。
その音と同じリズムで動く秒針。・・・などなど男子の心をくすぐる要素がたくさんあるのです。
これらは数値で表すことができるメリットではありません。メカニカルフェチというべき嗜好に過ぎません。
最近手に入れた時計で、再度比較してみます。

写真左は、クォーツ時計 アルバ フィールドギア V743-8000
写真右は、機械式時計 セイコー ミリタリー 7S26-00D0 (裏蓋変更済み)
ケースの大きさは、ほぼ同じ。約35mm径(リューズ除く)
ケース形状は少し違いますが、どちらもシンプルな形。
文字盤デザインも、ほぼ同じ。
実際に使って比較してみると。
・本体重さ フィールドギア V743-8000 31g
ミリタリー 7S26-00D0 38g
ほとんど一緒ですね。この7gの違いを感じることはできません。

・本体厚さ フィールドギア V743-8000 8.5mm
ミリタリー 7S26-00D0 10.5mm(裏スケ蓋だと11.8mm)
2mm差があると明らかに違いがわかります。
付け心地が変わり、薄いフィールドギアのほうが据わりが良いです。
つまりクォーツ時計のほうが設計自由度が高く、有利だということ。
==========2018.08.09 追記==========
イレギュラーですが、厚さはベゼル上端から裏蓋下端までです。
フィールドギア V743-8000 は極厚ドームガラス風防なので、
全厚さはたいして変わりません。
何が言いたいのかと言うと、写真を比較すれば分かるように裏蓋が薄くなって
いるのです。クォーツムーブメントは薄いのでケース・裏蓋を薄くすることができます。
もっと追求するならば、裏蓋とバネ棒位置の関係を計測すればよいのですが、
そこまではできてません。しかしこの差は体感できます。
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・精度(手間)これはフィールドギア V743-8000が圧倒的によいです。
このムーブメントはパーペチュアルカレンダーも電波受信もついてないので
西向く士の月(2・4・6・9・11月)は月末にカレンダー調整が必要になります。
そのときについでに時刻調整をしますがほとんどズレません。
使いたいときにすぐ使えるというメリットは大きいです。ちょっと近所にお買い物
のときなんかはクォーツを選んでしまいます。
ミリタリー 7S26-00D0は毎日使わないので、使うたびに時刻・カレンダー合わせ
が必要になります。日差も10秒くらいあります。私は機械式時計に慣れているので、
朝の儀式として逆に気持ちを仕事モードに切り替える時間でもあるのですけど。
一般的には面倒くさいことだと思います。
・針(運針) 裏蓋を開けず、見た目だけでクォーツ・機械式を判断できるところ。
よくクォーツのステップ運針は安っぽいなどと貶す方がいますが、
本当にナンセンスだと思います。なんの先入観も無しに、この2つの時計を
使い比べてみましたが、そんなこと気にならないのが普通です。
まじまじと時計を眺めない限り、両者の違いは分かりません。
私はよくトイレに篭ったときに(笑)自分の時計を眺めてニヤニヤしてるのですが、
こんな変態時計マニアでない限り、運針なんて意識しないのです。
余談ですが、安価なクォーツムーブメントは非力なので、太く(厚く)て重量の
ある針は回せません。そういう意味では高級感を演出しづらいでしょうね。
・耐久性 フィールドギア V743-8000 製造年1996年 20年経過
ミリタリー 7S26-00D0 製造年1996年か2006年 10~20年経過
どちらもまだまだ使用できますし、おそらく20年後も全く問題ないでしょう。
どちらのムーブメントも星の数ほど存在するものなので、部品に困ることもありません。
同じような外観のクォーツ・機械式を比較してみると、色んなことが理解できました。
私も雑誌や書籍、ネット情報に流されていました。盲目的な機械式信者だったのだと思います。
実際にムーブメント以外ほぼ同条件にして、比較してみると違いがほとんど実感できないわけですからね。
むしろクォーツのメリットを再認識したのです。
時計収集は趣味です。
機械いじりの楽しさや、各部品の機能美など、マニアが好むことも理解しています。
男のロマンですよね。くだらないことだけど大事なことです。
結局何が言いたいかと言うと、機械式を愛でるのは分かるけど、クォーツも良い物だよ。
食わず嫌いなら一度食べてみたらどうですか・・・ということ。
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よろしくお願いいたします。