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時計ケース研磨(その4 実演 後編)

前回の続きです。


研磨 B13

研磨 B15

研磨 B16


#400→600→800→1000→1500→(2000)と紙ヤスリを変えて地道に研磨していきます。
状態や場所によっては#2000は省略する場合があります。

耐水ペーパーヤスリは水研ぎ(水をつけながら磨く方法)もできます。
水研ぎのほうが目詰まりしにくいので、ペーパーが長持ちします。
慣れてきたら水研ぎのほうが効率が上がります。

番手が上がると摩擦も少なくなり、当て木も軽くなるので、ダレやすくなります。
最後まで気を抜かないようにします。かなり地味でしんどい作業が続きます。
目も酷使して疲れますので、何日かに分けて作業したほうがいいかもしれません。


研磨 B17


#1500まで研磨すると面が光ってきます。上手くできたと思っても角度を変えると
研磨キズが残っています。こいつが曲者で、手磨きはこいつとの戦いです。
研磨しても消えなければ1つ番手を下げて(粗くして)再度研磨します。


だいたい研磨キズが消えたら、メリヤス(Tシャツの布)にコンパウンドをつけて
当て木に巻き、研磨していきます。
コンパウンドは少量つけるようにします。大量につけても研磨できません。
金属が削れると黒く変色しますので、何度かやってみると量の加減が分かると思います。

布だけの方が力も入れやすいし磨きやすいのですが、せっかくここまでキープして
きたエッジが甘くなってしまいます。面倒でも最後まで当て木を使います。

磨いてはキズのチェックを繰り返します。
磨きはキリがありません。細かいところにこだわるといつまでも終わりません。
時間を決めて妥協することも必要です。とりあえず使ってみて、それでも
気になるようなら改めて研磨しなおせばいいのです。


今回の仕上がりはこんな感じです。


研磨 B19

研磨 B20

研磨 B21


なるべくキズが写るように撮影しましたが、やはり写真だと分かりにくいですね。
微細なキズが残っています。おそらくリューターがあればスカッと気持ちよく曇り
が消せるのでしょう。今のところこのくらいの技術しかありません。

エッジも微妙に丸いのです。
ビシっとエッジが立つと境界のラインが消えます。それはもう惚れぼれします。
理想の磨きには程遠いですね。少しづつ上達してる気はするのですが・・・


研磨 B22

研磨 B23


途中の写真は撮り忘れましたが、ベセルと裏蓋もケースと同時進行で研磨します。
ベゼルは見えるのでケースと同等の磨きを施しますが、裏蓋は見えないので
手を抜きまくりです。開閉キズなどの深いキズがなかったので、#600~1500まで
研磨したあとに、コンパウンドで磨きます。元々エッジの無い蓋なので、コンパウンド
は布のみでゴシゴシ磨きました。元々の凹みキズが大量に残っていますがOKです。

ベゼルは旋盤かボール盤があれば、楽してキレイな研磨ができると思います。
治具を制作すれば、一定の角度で研磨し続けられますからね。


研磨が終わったら、中性洗剤とブラシですべて洗います。
特にパッキンの溝・リューズ穴など入り組んだところを入念に洗います。
洗ったあとは、十分に乾かしてから組み立てます。



-----追加実演-----

先日記事に書いた セイコー SBCA001 のケース。


研磨 B26

研磨 B24


元のケースの状態はこんな感じでした。
ケースにもベゼルにも凹みキズが大量にありました。

このケースは元々エッジが丸いのです。高年式の普及品はこういうケース多いです。
昔みたいに仕上げコストがかけられないので、人の手に頼らない機械仕上げ。
そこがかえってミリタリーっぽくもあるのですが、あえてエッジを少し起こして
全面(もちろん裏面のぞく)ヘアライン仕上げにしました。


研磨 B27

研磨 B25


手順はほぼ同じです。

・まずは大きなキズを精密やすりで消します。

・エッジを立てるため、精密ヤスリ平面を削り込んで徐々に角を出していきます。
 このケースサイドは90°ではなく、角度のゆるい細い2面なので難易度は高いです。
 実際エッジ境界が曖昧な部分が残ってしまいました。

・凹みキズが深くケース・ベセルが痩せてしまうので、ある程度で妥協します。

・今回は#320で仕上げました。
 ヘアライン仕上げは手磨きだと結構難しいです。均一に真っ直ぐ動かしたつもりでも
 斜めのキズも入ってしまいます。角度を変えるとキズが動くのでわかります。
 できればリューターやベルトサンダーが欲しいところです。
 ベゼルも手磨きだと磨き初めと磨き終わりのところが分かってしまいます。



長々と書きましたが、私もまだ磨き修行中の身なので、まだまだ分からないこと
がたくさんあります。技術も未熟で満足いく磨きもできません。
それでも何年か続けてることなので、今までの知識をまとめてみました。
参考になることがあれば幸いです。




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修理・改造 | Comments(13) | Trackbacks(-)

コメント

No title
編集
研磨シリーズ、大変興味深く拝見しました。アカツメさんの時計がいつもビシっとしている理由がちょっとわかりました。
私はまともにケースの研磨をやったことが無いのですが、そのうち、ちょっとずつやろうかと思ってはいますが、、、聞いただけで気が遠くなるような作業ですね。てっきり電動工具を駆使するのだと思っていましたが、手作業がメインなんですね。でも、そのほうが大きな失敗は少なく、できるのでしょうね。
ありがとうございます。
2016年09月05日(Mon) 14:04
Re: No title
編集
ドラのび太 さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

この研磨記事はマニアック過ぎるかなと思ってましたが、以外にアクセス数
があったんです。その割にリアクションがないので寂しいなあ・・・
と思ってたところでドラのび太さんのコメント!ありがとうございます。

私も電動工具は使いたいのです。ご存知の通り、今は夜中のリビングが作業場なので、
汚れたり音がする電動工具は使えないのです。実家にボール盤などが置きっぱなしなので
いつかはどうにかしたいと思ってます。欲しい工具はリューターと旋盤ですね。
この2つがあれば研磨効率は劇的に変わるでしょう。

基本は手研磨だと思ってます。ヤスリで金属を削ったり、研磨材で磨いたりする感覚が
分からないと、いきなり電動工具を使っても失敗する気がします。
工業高校でも一番最初は手工具からなんですよ。

時間効率が要求されるプロの仕事ではないのですから、気長に楽しむのが良いと思います。
2016年09月05日(Mon) 19:23
編集
素晴らしいですねw
下手に業者に頼むよりアカツメさんに頼みたいくらいですw
自分も精進します!
2016年09月05日(Mon) 19:31
Re: タイトルなし
編集
ねじまき さん

こんばんは。
コメントありがとうございます。

いえいえ。とんでもないです。
自分の時計だからこそ、失敗に恐れず作業できるのです。

確かにケース研磨は難しいのですが、達人と言われる方々も最初は
できないのです。ジャンクからはじめて数個仕上げる頃には、とりあえず
形になると思いますよ。ただ・・・回数重ねるごとに目も肥えてくるので
終わりはありません。私も日々修行でございます(笑)
2016年09月05日(Mon) 22:07
No title
編集
お見事ですね。
DIYだと限られた道具で試行錯誤し根気よくやる以外ないですが、
曲面はセンスや感覚の世界だと思います。
出来ていく満足感はあるものの止め時の難しさ、本当に研磨は奥が深いです。
2016年09月05日(Mon) 23:57
Re: No title
編集
泉筒子 さん

こんにちは。
コメントありがとうございます。

そうなんです。制約のなかで試行錯誤するのも楽しいんです。
工具・道具屋も行きますが、ホームセンターや100均も使えるモノ
がないか、家族の買い物のついでに物色してます。

難しいですよね。私は欲張りなのでついつい触りすぎてしまいます。
自分の技量のギリギリを攻めすぎなんです。そういう意味では手研磨の
ほうが失敗(被害)は少ないですね。

比べてはなりませんが、フィリップ・デュフォー氏や浅岡 肇氏など
一流の方々の磨きは神々しいです。
2016年09月06日(Tue) 09:49
No title
編集
初めまして。
楽しく拝読させていただいてます。

研磨に、ディスクグラインダーなどは使われないのでしょうか?
私は、ディスクグラインダー用フェルトバフで磨いてます。
ダイソーのフェルトバフ200円+青棒100円です。
結構きれいになります。
フェルトバフの外周部を細工することで、細部もみがけます。

赤棒・白棒・青棒

2017年02月28日(Tue) 00:12
Re: No title
編集
パンサー さん

はじめまして。
コメントありがとうございます。

私は工業高校出身なので、電動工具や工作機械には慣れ親しんできました。
実家に住んでいたころには、グラインダー・ボール盤などの電動工具も
使っていて、まだそのまま置かせてもらっています。もちろん青棒知ってます。
現在はアパート暮らしなので、騒音や汚れの問題から電動工具は使いにくいのです。
夜中のリビングが作業場なので・・・

使えるかどうかわかりませんが、75mmのミニ卓上グラインダーは気になりますね。
フレキシブルシャフトつけてリューターにもなるみたいだし。そのうち
現物触って検討してみます。手玉取りや電動ひげ剃り程度の音なら使えそうです。
そのうち記事に書きますが、先日ついに自分専用の作業スペースが確保されたのです。
たたみ一畳にも満たないですけど、毎回全て片付けなくても良いので効率が上がります。

今後ともよろしくお願いいたします。
2017年02月28日(Tue) 12:39
No title
編集
パンサー です。
ご返事ありがとうございます。
各個体による違いはあるのでしょうが、一つの時計で研磨所要時間、10~20時間くらいですか?もっと?(笑)

私、使ったことないですが、<油砥石>という名称で、小指くらいの大きさの砥石をホームセンターで売ってました。
これ、どうなんですか? 紙やすりの方が使いやすいでしょうか?
もし、お分かりならご教授下さい。
よろしくお願いいたします。
2017年03月06日(Mon) 20:38
Re: No title
編集
パンサー さん

こんばんは。

そうですね。深い傷があったり複雑な形状の場合は時間がかかりますね。
いつも夜中に3時間位作業してますが、だいたい2~3日かかりますから、
6~10時間というところでしょうか。おそらくもっと時間をかけるほど
良い仕上げになるとは思うのですが、時間は有限で待ってる時計もあるので
この位が妥協点ですね。

油砥石は昔、オートバイのエンジンをばらしたときに使ってました。
アルミケース合わせ面をすりあわせてキレイにするのです。
今は使おうと思いません。なぜなら油を含ませるので対象物にも油まみれに
なるので、脱脂が面倒くさいのです。

私は刃物も研ぐので、何本も水砥石をもってます。研磨力は油砥石より高いの
です。ただし大きな板状ですし、研磨面がすり減るのも早く面出し作業も必要
なので、時計ケースを磨くのには不向きです。ミネラルガラスのキズ消しには
最適だと思います。

固い当て木に貼った紙ヤスリのメリットは、任意の大きさにできることと、
平面が崩れにくいことです。デメリットは貼り替えが面倒くさいことですね。

最近はセラミック砥石の細型もあり、細いものだとφ0.5mmのモノもあるようです。
まだ使ったことありませんが、研削力が紙ヤスリより高いなら使えそうです。
2017年03月06日(Mon) 21:47
No title
編集
パンサーです。
コメントありがとうございます。
私、時計いじり、始めの一歩目です。

ケース・風防・文字盤・針を入れ替えてお気に入りの物を作ろう、意気込んでます。
ここを参考にいろいろやってますが、
風防破壊2枚、リュウズ挿入不可が三機(いずれも自動巻)になりました。
クオーツのリュウズ挿入は簡単ですが、自動巻は4機中3機だめです。
アカツメ様などは、<曜日盤を留めてあるCリングは文字盤とリングの間にこじ開けを挿入し弱めにこじるとすぐリングは外れます>等書かれてますが、
こんな事わたしにはできないよー(涙)

二次電池の交換作業、ユーチューブでは2分位で終了してましたが、私、3時間ほどネジ締めに悪戦し、結果ネジを見失いました(涙笑)

時計いじり、細かくて大変ですが、楽しいですね。
でも、針に糸を通せる年齢だったもっと楽しいでしょうね。

プログ、拝読させていただきます。
よろしくお願いいたします。
2017年03月12日(Sun) 00:12
Re: No title
編集
パンサー さん

こんばんは。

私も風防を割ったことあります。つい最近も外装構造の違いに気づかずに
圧入機で粉砕してしまいました。リューズが入らなくなったことは今のところ
ありません。ここのサイトが詳しく解説されてます。
http://mr-coo.com/repair/pull-crown.html

曜日盤のCリングはコツがわかると簡単なんですけど、最初は飛ばして無くしたり
周りをキズつけたりしました。ブログには文字制限はありませんが、
すべてのことを書くことはできません。私も多くの失敗を重ねてきたのです。
これからも失敗はすると思います。大事なことは失敗の原因と対策を考える
ことです。

趣味は楽しいことが一番です。時計をいじってるときは時間も忘れて没頭
できます。無理せず少しづつ自分のできる範囲を広げていけばいいと思います。
2017年03月12日(Sun) 19:03
管理人のみ閲覧できます
編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017年05月27日(Sat) 02:21












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少ないおこづかいで古い国産時計の収集をしています。時計の紹介・修理・改造・関連話・お得な情報などの記事をボチボチと書いています。

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