
すでに旬の過ぎたカスタムなんですけど、ようやく作業が終わりました。
必要工具や基本手順は以下の過去記事を参考にして下さい。
今回はそれ以外の要点解説になります。
夏のダイバーズ カレンダーカスタム SKX007 ブラックボーイ(その2)夏のダイバーズ カレンダーカスタム SKX007 ブラックボーイ(その3)夏のダイバーズ カレンダーカスタム SKX007 ブラックボーイ(その4完結)今回のメニュー
・ムーブメントの換装
7S26 → NH35(4R36同等品)
これで、ハック(秒針規制)と手巻きが付きます
石の数が増えます 21 → 24
・曜日カレンダーを日本語/英語に換装
・ミネラル平ガラスをダブルドームサファイアガラスに換装
地味ですねえ。どこが変わったのかオーナーにしか分かりません。
だがこれがいい。気に入ってる基本デザインは崩したくないのです。
さて早速ですが、セイコーミリタリーSNX427(以下SNX427)とブルッキアーナの
裏蓋を開けます。

リューズ2段引きで12時00分に合わせます。
リューズを押し込んだ状態で、赤矢印先端丸のレバー(真ん中に凹みあり)を
押しながら、リューズを抜きます。
これでムーブメントが外れます。ブルッキアーナはスペーサーが2重なので逆さまに
すると簡単に外れます。SNX427はケースとスペーサーがギチギチなので、少しコツが
必要です。スペーサーを上手くコジッて起こします。ローターやその他ムーブメント部品を
コジッてはなりません。
ムーブメントが外れたら、両方共すべての針を外します。[過去記事参照]
SNX427のリューズと巻き芯を分離します。
通常ネジ止めなのですけど、ネジ止め剤を塗布してるので固い場合があります。
その場合はハンダコテでリューズを熱してやると外れます。ただし塗装リューズは
焦げる場合があるので、裏側など目立たないところを熱して下さい。
あまり長い間熱すると防水Oリングが痛むので注意。
リューズが外れたら巻き芯のみを、再度ムーブメントに差し込みます。

リューズを押し込んだ状態で、スペーサーから巻き芯先までの寸法を測っておきます。
文字盤を外します。7Sも4Rもプラスチックスペーサーに文字盤ピンが刺さっているだけ
なので、真っ直ぐ持ち上げると外れます。

左:NH35(4R36) 右:7S26
SNX427はデイデイト仕様なのでは曜日カレンダーがあります。
中心の軸(筒車)にCリングがあるので、薄いヘラなどで持ち上げて外します。
飛びやすいので注意です。割れている側を持ち上げると外れます。

左:NH35(4R36) 右:7S26
緑矢印先端丸のプラスチック歯車、これが NH35(4R36)にはありません。
7S26 から外して NH35(4R36)に移植すればOKです。
中央緑丸の筒車の歯車厚さが違います。これも移植しないと曜日カレンダーディスクが
つきません。

左:NH35(4R36) 右:7S26
赤丸のマイナスネジを全て外します。なお古い 7S26 の赤2重丸は小さいプラスネジです。
これは非常に小さいので専用のプラスドライバーが必要になります。
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左:NH35(4R36) 右:7S26
写真を撮り忘れましたが、ネジを外すとそれぞれ2枚のプレートが外れます。
これは専用部品なので互換性はありません。筒車を交換したら元に戻すことになります。
下側のプレートです。同じように見える部品ですが、重ねると違う形だと分かります。

ここで疑問が浮かびます。ほぼ同じ形式のムーブメントなのにカレンダー周辺の部品が違う。
いつもコメント下さる読者さん、いつも拝見してるブロガーさんが言っていたことはこれですね。
さらに分解すると興味深い事実が判明します。

左:NH35(4R36) 右:7S26
NH35(4R36)には、巻き芯回りに手巻き機構がつきますが、他は一見同じに見えます。
しかしカレンダー送り歯車の配置が違うことが分かります。歯車の中心をなぞった青い線の
角度を比較してみて下さい。カレンダー送り歯車と周辺部品のクリアランスも比較すると
分かりやすいです。
これ以上分解していないので、なぜ配置が違うのかは分かりません。追加されたハック・手巻きの
ためなのか。それ以外の理由なのか。ご存知の方がおられたらご教授下さい。
360÷31≒11.6
ちょうど11.6度の倍数ズレであるなら、日付カレンダーディスクも共通のはずです。しかし
NH35(4R36)と 7S26 の日付カレンダーディスクは同じものではなく、ツメの位置がズレています。

つまり、NH35(4R36)と 7S26 は、日付カレンダーディスクは違うということ。
互換性はありません。正確には取り付けはできるけど日付枠からズレます。
日付カレンダーディスクを載せた状態の写真を再度比較します。
赤線はセンターから巻き芯の位置をなぞっています。

NH35(4R36)・ 7S26 共に、ちょうど日付と巻き芯は同位置にくるのです。
SNX427は4時リューズモデルです。
ということは、3時位置リューズも4時位置リューズも日付カレンダーは共通ということです。
4時リューズとは言え、4時ピッタリでなく3時45分くらいですよね。
日付カレンダー2つ分 11.6×2=23.2 度
1時間は 360÷12=30 度
23.2÷30≒0.77 60分×0.77≒46分
さらに考察
曜日カレンダー1つ分は、360÷(7×2)≒25.7 度
3時位置と3時46分位置では、どちらかでないとピッタリ曜日は合いません。
よって、ディスク裏ツメ位置が違う2種類の曜日ディスクが必要になります。
---- まとめ ----
今回は、4時リューズデイデイト7S搭載モデルの4R換装なので、
日付カレンダーディスクは4Rのディスクを使用。
曜日カレンダーディスクは4時リューズ用を使用しました。(そのまま使えましたが日本語ディスクに換装)
◎ 日付カレンダーディスクは、7S・4Rで異なる。(リューズ3時・4時位置は共通)
◎ 曜日カレンダーディスクは、リューズ3時・4時位置で異なる。(7S・4Rは共通)
長くなってきたので今回はここまで。
次回は針入れからです。巻き芯調整・サファイアガラス換装がメインになります。
お楽しみに。
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コメント
巻き芯が4時位置のSKXなどの7S26をNH35に換装する場合
・日付ディスクはNH35のまま(取り換え不要)
・曜日回し車と曜日ディスクは7S26の4時位置のものを移設(NH35は3時位置だから)
ということですよね(自信がなくなってきました・・・)
こんばんは。
コメントありがとうございます。
やっぱりややこしいですよね。
上手く説明できなくて申し訳ありません。
>・日付ディスクはNH35のまま(取り換え不要)
>・曜日回し車と曜日ディスクは7S26の4時位置のものを移設(NH35は3時位置だから)
その通りです。
もし日本語ディスクを注文するなら、4時リューズ用を購入します。
ただひとつだけ。
NH35 はデイトモデルなので曜日カレンダーはありません。
NH36 がデイデイトモデルです。
SKXも、今回の記事通りで換装できますが、
SKXのリューズは打ち込み式なので、個人レベルでは外すことができません。
よって汎用のねじ込みリューズを購入することになるようです。
fusejiさんのブログで詳しく解説されてます。
http://fuseji.exblog.jp/26834127/
プレートのツメだとか黒いカレンダー送りの樹脂だとか比較しても全く分からず、
まさに灯台下暗し。
7S36-0050に4時日付カレンダーが付かなかった理由はこれですね!
おはようございます。
コメントありがとうございます。
いまのところ私の答えはこれですね。
ややこしいけど、
日付カレンダーは、7S・4Rで違う。(リューズ3時・4時位置は共通)
曜日カレンダーは、リューズ3時・4時位置で違う。(7S・4Rは共通)
ということですね。
今後は6R や 7009 との比較もやってみたいですね。
以前ボーイに7009アクタスのカレンダー移植しましたが、
日付カレンダーは互換性がありませんでした。
こうやって少しずつ謎が解けていくのが楽しいです。
リューズに巻き芯が打ち込まれているため、社外品を使うか互換性のあるパーツを流用するしかないんですよね。
SKX007/009だとアルピニストのパーツが流用できるそうなので、パーツ到着待ちです。SKX013(ボーイズサイズ)のムーブ載せ替えしたいのですが、やはりリューズがネックになっています。
ところで、取り外した7Sはブルッキアーナに移植されるのですか?
こんにちは。
おおっなるほど!SARB059ですか?
これ6Rだけど、ケースはSKXと共通ですものね。
4Rと6Rの巻き芯が同じモノならリューズの取り外しも
巻き芯の調整も必要なくポン付けですものね。
テンション上がってしまいましたけど違いました?(笑)
上手くいったら教えてくださいね。
うーん。もったいないとお叱りを受けそうなんですけど、
ブルッキアーナは完全にムーブメント目当てで購入しました。
残った側は・・・使い道がありません。。
7Sは完調なので、ドナーとして保管しています。
ビンゴです。ケースが同じなのでポン付けになります。
おまけにアルピニストのリューズはSマーク入りですので、ちょっとしたアップグレードになります(気付くのはマニアだけですが)。
部品番号は1E70D1SNS0になりますので、時計部品を扱っているお店で発注可能です。
モンスターは初代の7S版と2ndの4R版でケースが同じです。手持ちの初代を4Rにアップグレードするつもりでパーツも発注したのですが、今回の記事で日車の互換性が無いと知ってガックリきてます。ブルッキアーナーのNH35の日車は白ベースなので(ブラックモンスターの日車は黒ベースですから)
NH35を搭載してる時計はINVICTAとかVOSTOKEもあるのですが、ブルッキアーナが一番お安いですね。ドナー目的購入した人も多いと思います。まあ、私も同じなのですが・・・文字盤とハンズのデザインがもう少し良ければと・・・
こんばんは。
やはりそうですか。
一番確実で良い方法だと思います。情報ありがとうございます。
確かにSマークつきますね。
4Rモンスターの日付カレンダーディスクを購入すればOKですよ。
おそらく単体部品は出ますし、単価も1000円前後だと思います。
品番は分かりませんけど、時計屋で普通に注文できます。
どちらにしても筒車は交換しなくちゃいけないので手間は同じです。
私はカスタムとしては面白いけど、実用的には4Rにこだわりがなく
7Sでもいいやと思っています。でもまたブルッキアーナ祭りが
あったら4Rは購入しておきたいですね。ドナーとしても優秀ですから。
7S26ですがA/B/Cの3タイプあります。
現行のBoyシリーズはCを搭載。モンスターのファーストシリーズはBです。
Cシリーズは日付ディスクも巻き芯も4R/6Rと同じでした(逆に言うと7S26でもBとCで互換性が無い。AとBはほぼ同じ)
ここから先、何が言いたいのかはお察しの通りです・・・
結果的に無駄な部品を買ってしまったのです。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
ええーー。そうなんですか。
ああ。SARB059の巻き芯を買っちゃいましたよ。
そういえば、Cを分解したときに比較したことはありません。
カレンダー歯車配列は、7S・4R・6Rで共通化しても不思議では
ないけど、手巻き機構の有る無しで巻き芯が変わると思ってました。
そこも共通になってるのかなあ。
海外フォーラムからこんなページ見つけました。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1sYt_mI9c4tAPiKN3IM8lQx3NEEOyz2DMjVHx5I1_Mqw/pubhtml
確かに日付ディスクが変わってますね。
でも Winding stem (巻き芯)は、ABCとも同じようですよ。
百聞は一見にしかず。
今日、早速7S26Cバラして確認してみます。
7S26の時計にNH35を移植する場合
SARB059のリューズ付き巻真を購入すれば
巻真の差し替えは不要という事でしょうか?
ご教示頂ければありがたいです。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
話の流れは分かっておられるとは思いますが、SKX00*(ボーイ)限定の話です。
他の7S26搭載機は無理です。SARB059とSKX00*(ボーイ)のケースは同じモノ
なのです。だからリューズも同じモノ。
SARB059は、6Rです。6Rと4R(NH35)のリューズは共通です。
つまりSKX00*(ボーイ)を 4R(NH35)に換装した場合、SARB059リューズが
無加工でつけられます。品番 1E70D1SNS0 価格3800円
部品は高価だけど純正部品だから安心だし、なにしろポン付けなので一番簡単です。
ちなみに、セイコーダイバーズの巻真はネジ式ではなく、打ち込み式
なので、素人は取り外せないと思ってください。やろうと思えば
途中で切断して巻真をつなぐ金物をつかえば、差し替えはできるけど
面倒くさい上に上手に固定しないと外れるリスクもあります。
社外品のネジ式ボーイリューズもありますよ。
どの方法も巻真長さ調整などの加工が必要。
呑み込みが悪くすみません、ボーイにNH35を移植する場合はSARB059の
ものがポン付けという事ですね。
あと7S26Cのボーイの場合リューズはそのまま使用出来るのでしょうか?
こんにちは。
その通りです。便利な部品です。
海外でも人気でebayでも日本の2.5倍くらいの価格で売られてます。
7S26C も巻真は 7S26AB と同じです。7Sと4Rの違いは手巻き機構の有無です。
4Rの巻真には加工されてる部分(手巻き用の歯車が噛み合う部分)が
7Sの巻真は無加工なんです。
だから4Rの巻真は7Sには使えるけど、7Sの巻真は4Rには使えません。
---------------ここまでは巻真の話-----------------
私も教えていただいたばかりで確認はしてませんが、7S26Cは
カレンダー歯車配列が、4Rと同じだそうです。
7S26ABと4Rは、日付カレンダー(※曜日ではありませんよ)が違いました。
7S26ABの日付カレンダーを4Rに移植すると、カレンダー枠と日付がズレます。
これが7S26Cになる時に共通化され、日付カレンダー部品も共通となったのです。
曜日カレンダーは従来通り、3時リューズと4時リューズでディスク歯車が異なります。
これは7S・4R・6R共通です。あくまでリューズ位置の話です。
ややこしいですが、巻真・日付カレンダー・曜日カレンダーを
それぞれを分けて考えてみて下さい。
丁寧な詳しい解説ありがとうございます、感謝です。
巻真とカレンダーの話が頭の中で一緒になっていました。
NH35をボーイに移植する際は社外リューズかSARB059の物を流用する
カレンダーは曜日を移植する。
非常に参考になりました、リューズをどうするか検討し移植に挑戦してみたいと思います。出来るか不安ではありますが。