前回予告通りロードマチック全数字文字盤の製造年による
違いについて書いてみます。
少々マニアックで退屈かもしれません。
ロードマチックの全数字文字盤は一見同じに見えますが
製法違いで2種類あります。
数字(インデックス)がプレスの文字盤と植字の文字盤。
下の写真の左がプレス、右が植字です。

当然植字文字盤のほうが手間がかかります。
写真で数字のディテール(細部)の違いが分かるでしょうか?
裏面を見ると良くわかります。

植字は切出した数字の下面に足(金属ピン)がつけてあります。文字盤には
その足に合わせた位置に穴が開いていてそこに足を刺して固定するのです。
飛び出た足?が干渉しないように丁寧に削ってあります。
プレスは数字の形に凹んでます。表は数字の形で凸になってます。
数字の部分は塗装しなくてなりませんが、植字に比べると大変省力化されてます。
良く見るとプレス文字盤もSEIKOとLMのところは植字なのですが。
固定する技術が改善されてわざわざ足を削らなくてもよいようになってます。
変わる正確な時期はわかりません。もちろんプレス文字盤のほうが新しいです。
左の写真がプレス、右の写真が植字です。


拡大すると良く分かるのですが、エッジ(角)の立ち方が全く違います。
植字はおそらく切出した金属を表面処理をして着色しているので塗膜がなく
金属の切出しエッジがそのままです。また側面もキレイに着色されています。
プレスは塗装仕上げなので、どうしても塗膜の厚さだけエッジがだるくなります。
また塗装は上面のみで側面は文字盤ベースの色です。
塗装を剝して観察してないのですが、おそらくプレスだと上面を削り出す等の
もう一手間かけないと切出し文字のようなエッジも立てることもできないの
かもしれません。
この違いを知ってしまうと植字のほうが価値があると思えてきます。
有名どころで例えばロードマーベルの初期はロゴが彫り文字で
その後プリントになるのですが、明らかに売買相場が違い初期のほうが高値で
取引されます。しかしこのロードマチックは文字盤の違いで売買価格はほとんど
変わりません。基本価格が安いですしあまり知られてないからだと思います。
それに植字文字盤は数量的に珍しいわけではなく簡単に見つかります。
ディテール積み重ねで全体の印象が決まりますので、植字のほうがシャープで
クリアなどちらかというとモダンな感じがします。
プレスのほうがのっぺりとしていて塗装のゆらゆらとした艶が
クラシックな感じです。改めて比較してみると、どちらが良いとも言えません。
プレスのこのクラシックな感じも悪くないです。
結局各人の好みという結果になりましたが、工業製品の合理化は必ずあることなので
知ってて損はない話だと思います。
この文字盤の違いはロードマーベル36000全数字も同じです。
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コメント
僕も国産オールド時計好きでこのブログを見つけました(僕のはガラクタレベルですが…)
僕もロードマーベル36000の全数字を2本持ってまして文字盤の違いがずっと気になってたんです
一方のインデックスは塗りで、もう一方は平面でエッジが立ってるんで
やっと氷解しました
本当に有難うございます
長々スイマセン
コメントありがとうございます。
ロードマーベル36000良い時計ですよね。
同じ時計を複数所有すると気づくことが結構あります。
所有していないとどうでもいいマニアックな記事で需要があるのか
少々不安でしたが、共感して頂けて大変嬉しいです。
また気が向いたらのぞいてやって下さい。
ロードマーベル36000アラビア絹目が大好きで、今日2本目を手に入れた所、、、、おそらくご紹介されているような感じで文字の質感が全然違いました。ずっと使っていたのが植字で、新しく入手したのがプレスのような感じです。同じ時計なのに。すごく感性に響く感じが違います。使っていたものがシミやカビがあり、入手品と文字盤スワップを考えていたのですが。確かにプレス盤も綺麗なんです。状態もすごくいい。が、萌えない。笑。悩みます。
今後も時計事の記事を楽しみにしております。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
そうなんですよね。
同じ時計を手に入れて比較しないと分からないことです。
ハッキリ言って普通の人には、全く同じ時計に見えることでしょう。
でも細部が気になり違いを知ってしまうと、同じ文字盤に見えなくなる
のですよねえ。雰囲気がずいぶん変わります。
プレス文字盤はコストダウンと効率化なんでしょうけど、雰囲気は
悪くないと思うのです。実際私のロードマーベルはプレス文字盤なんです。
もちろん好みもあると思いますけど。両方ともお使いになられるのが
良いと思います。
今後共よろしくお願いいたします。